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プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

世界バレエ Bプログラム

8月8日、台風が迫る中を、世界バレエのBプログラムに行って来ました。平日の6時に上野に行くというのは、仕事がある身としてはなかなか辛く、この日も開幕10分前に到着。2階L席の最前列でした。ここはB席ですが、最前列が取れれば3階、いや、4階でさえもなかなか良いシートです。オペラでも狙っていますが、最前列はなかなか取れません。Aプロに続いてラッキーでした。

この日の演目は、あきらかにAプロより、豪華なラインナップになっていました。「椿姫」のパ・ド・ドゥが2つもありますし、しばらく日本では上演されていなかった、「マノン」の沼地のパ・ド・ドゥ、そして「オネーギン」の寝室のパ・ド・ドゥ、「白鳥の湖」から黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥと、好演目が目白押しです。だいたいの人が両プロともチケットを取るでしょうが、Aプロだけ見た人(例えばデュポン目当てで)は、ちょっと残念だったかもしれません。

今回も、気になった演目をコメントしていきます。

まずは、Aプロの「ディアナとアクテシオン」で素晴らしい演技を見せてくれた、オランダ国立バレエのダニエル・カマルゴ、このBプロでは第一部の「ムニュコス」と第4部の「じゃじゃ馬ならし」で登場。正直、今回まで、知らなかったダンサーですが、出色でした。Aプロでは基礎が素晴らしいと思いましたが、Bプロの2演目では、表現力の豊かさにびっくりしました。「じゃじゃ馬ならし」はこの表現力がなければ、実にたいくつなバレエになってしまいますが、思わず舞台に引き込まれてしまうほどの演技力。エリサ・バデネスはおそらくは、もともとはシュッツガルト・バレエで一緒に踊っていたと思われます。彼女も実にコケティッシュな魅力を振りまいていました。このカマルゴ、まだ若い(20代)と思います。軸のぶれの無い回転の速さ、ジャンプ力もあり、また、パートナーの扱いも上手い。王子役も見たかったです。

オペラ座のコンビ、レオノール・ポラックとジェルマン・ルーヴェの「ソナチネ」。バランシンらしく優雅で高貴な雰囲気があります。ラヴェルの曲に合わせての比較的ゆっくりした踊り。Aプロの「くるみ割り人形」より、ずっと良かったです。ポラックは素早くポアントをすると時々脚が震えることがありましたが、この演目では実にきれいなポアントでした。しかし、オペラ座のエトワールは、フランス物、マスネとかこのラヴェルなどで踊ると余計素敵ですね。(と思うのはフランスびいきの僕だけかもしれませんが)

今回、第1部で「コッペリア」、第3部で「マノン」を踊った、アリーナ・コジョカル、もう、40歳に手が届く年齢だと思いますが、可愛い!前にも言いましたが、オペラ座のダンサーは年齢に従って、「可愛い」→「たくましい」とか「優雅」、「切れのある」などとイメージを変化させるのですが、コジョカルは、あくまで「可愛い」ですね。身長が低いこともあるのでしょう。今回、なんだか、はじめて「コジョカルいいなぁ」と思いました。今まで、このコッペリアも何度も見ているのですが。マノンの「沼地のパ・ド・ドゥ」も久しぶりです。何やら、日本での上演の権利の問題があって、それが解決したのだと聞きました。この演目は一昨年、パリのオペラ座でデュポンの引退公演で見たのが目に焼き付いていますし、その前には、マラーホフとヴィシニョーワのペアの演技も何度も見ています。ですので、どうしてもそれらの演技との比較になり、そうするとダイナミックさ(特にマノンがデグリューに投げられるところ)が足りない感じがしてしまいますが、逆に様式感がきちんとあって、安心して見ていられる、そしてやはり、「可愛い!」、というところが魅力でした。

2部では、また、タマラ・ロホが最高!完全に僕の中では、ロホ復活!です。「HETのための2つの小品」は、コンテンポラリーですが、クラシックなテクニックも多く使われており、ロホの魅力が十二分に出ています。彼女は、コジョカルとは正反対のタイプ。空気を切り裂くような清冽な踊りが魅力です。これが、前回の世界バレエでは、ノイマイヤーの振り付けとは合わなかったのですが、今回はAプロの「カルメン」もそうでしたが、新しいロホの踊りのスタイルというのを見せつけてくれました。

「椿姫」からは、第2幕の侯爵の別荘でのマルグリットとアルマンのパ・ド・ドゥ、第3幕からは「黒のパ・ド・ドゥ」と2つの魅力ある演目が見られました。ピアノの、フレデリック・ヴァイセ=クニッテルがとても良く、ショパンの調べにのった踊りが良かったです。しかし、フリーデマン・フォーゲルも38歳ですが、童顔ですね。高いリフトから首の後ろを通って抱き合う形になるところなど、ノイマイヤーってやはり天才的な振り付けをするものだと思いました。

第4部のラスト3演目は、ノイマイヤーのアダージェット、クランコのオネーギン、寝室のパ・ド・ドゥ、そしてプティバのドン・キホーテと、涎の垂れそうな演目が続きました。シムキンのマネージュも今回はすごく高く、拍手喝采。

今回は、バレエではあまり話題にならない、指揮とオーケストラも良かったと思います。演目に合わせて、軽快に、また、粘っこく、またマーラーの5番のように、静かに心の奥に響くような音楽を作り出していました。全幕のドン・キホーテも良かったのですが、こういったガラだと、ミンクス、ドリーブ、チャイコフスキーという3大バレエ作曲家の作品が聴けます。これだけでも幸せ。

休憩時に、文化会館の事業企画課のSさんと話したのですが、今では、この3年に一度の世界バレエに出演することを目的にして頑張っているダンサーがたくさんいると、そして、ここに出たことは、ダンサーの経歴にも誇れる印になるということでした。世界中探してもこんなに素晴らしいダンサーが一堂に会するイベントはありませんものね。

満足しました。多分、今年のバレエ観劇はこれでおしまいかと思います。

― 第1部 ―
「眠れる森の美女」
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オレシア・ノヴィコワ
デヴィッド・ホールバーグ

「ムニェコス(人形)」
振付:アルベルト・メンデス
音楽:レムベルト・エグエス
ヴィエングセイ・ヴァルデス
ダニエル・カマルゴ

「ソナチネ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:モーリス・ラヴェル
レオノール・ボラック
ジェルマン・ルーヴェ

「オルフェウス」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー、ハインリヒ・ビーバー、ピーター・プレグヴァド、アンディ・パートリッジ
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

ローラン・プティの「コッペリア」
振付:ローラン・プティ
音楽:レオ・ドリーブ
アリーナ・コジョカル
セザール・コラレス

― 第2部 ―

「シンデレラ」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ドロテ・ジルベール
マチュー・ガニオ

「HETのための2つの小品」
振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:エリッキ=スヴェン・トール、アルヴォ・ペルト
タマラ・ロホ
イサック・エルナンデス

「白鳥の湖」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アシュレイ・ボーダー
レオニード・サラファーノフ

「椿姫」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
アリシア・アマトリアン
フリーデマン・フォーゲル

― 第3部 ―

「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
メリッサ・ハミルトン
ロベルト・ボッレ

「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ミリアム・ウルド=ブラーム
マチアス・エイマン

「マノン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー

「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
サラ・ラム
フェデリコ・ボネッリ

「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
アンナ・ラウデール
エドウィン・レヴァツォフ

― 第4部 ―

「じゃじゃ馬馴らし」
振付:ジョン・クランコ
音楽:ドメニコ・スカルラッティ
編曲:クルト・ハインツ・シュトルツェ
エリサ・バデネス
ダニエル・カマルゴ

「ヌレエフ」より パ・ド・ドゥ
振付:ユーリー・ポソホフ
音楽:イリヤ・デムツキー
マリーヤ・アレクサンドロワ
ウラディスラフ・ラントラートフ

「アダージェット」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:グスタフ・マーラー
マリア・アイシュヴァルト
アレクサンドル・リアブコ

「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アレッサンドラ・フェリ
マルセロ・ゴメス

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
マリア・コチェトコワ
ダニール・シムキン

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス  
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル(「ソナチネ」「椿姫」)
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