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プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

フィレンツェの悲劇 x ジャンニ・スキッキ

 4月7日の初日のマチネに新国立劇場に行ってきました。珍しいダブルビル(二作同時上演)形式。ただ、もともと、プッチーニのジャンニ・スキッキは、「三部作」の最後、「外套」、「修道女アンジェリカ」の後にトリプルビルとして上演されるのが、普通です。

 この日のダブルビルは、フィレンツェという街を基軸にした2作で、意欲的な企画ではありましたが、「フィレンツェの悲劇」、音楽的には素晴らしいのですが、ストーリーがあまりに単純でした。「悲劇」ですから軽いということはないのですが、登場人物三人の心理描写が出来ていなくて、筋立ての似た「外套」などに比べると、物足りないのです。そうすると、その後に来る喜劇の「ジャンニ・スキッキ」のインパクトも弱くなります。去年から今年にかけて、佳作とも言える「三部作」をMETと二期会で観劇したイメージがまだ僕の体内に残っているので、余計その物足りなさを感じました。

 「フィレンツェ」の歌手三人は、なかなかのレベルです。特に、ねっとりとしたグイードのグリヴノフ、クールなビアンカの斉藤純子のやりとりは魅力的でした。斉藤はフランス在住のようだが、もっと日本でも歌ってもらいたいものです。シモーネのグリヴノフも、輝くようなテノールで良いのですが、個人的にはちょっと声が高すぎて、心理的な表現には向いていないような気がしました。

 「ジャンニ・スキッキ」は、タイトルロールのカルロス・アルバレスが素晴らしかったです。「演技が出来て、歌もうまい」のを要求されるこの役に充分過ぎる実力を発揮していました。砂川涼子も村上敏明もうまいのですが、これだけ大人数の歌手が出るのであれば、若手の研修所上がりなど、サプライズがあっても良いのではとも思いました。

 演出は、オーソドックスなものでしたが、舞台美術が良かった….というか僕の好みでした。特に「ジャンニ・スキッキ」で登場人物が、皆、ミクロの決死圏みたいに、小さくなって文机の上で大きな封筒を開けたり、はかりに乗ったりするのは、目新しさはないけど、このストーリーには良く合っていたと思います。

 最後に指揮の沼尻竜典。どちらかと言えば、「フィレンツェ」のほうが、緊迫感があって、彼の良さが出ていたようです。だらだらとしたストーリーを、音楽で盛り上げていました。ただ、やはり、「三部作」の「外套」で彼の指揮を聴きたかったというのが本音。

今回から、新国立劇場の客席全席に、特製のクッションが付くようになりましたが、座り心地が良いです。この日のような短いオペラでも良いですが、ワーグナーなどの長い公演の時は、ずいぶん助かると思います。

■ツェムリンスキー「フィレンツェの悲劇」
– グイード・バルディ:ヴゼヴォロド・グリヴノフ
– シモーネ:セルゲイ・レイフェルクス
– ビアンカ:齊藤純子

■プッチーニ「ジャンニ・スキッキ」
– ジャンニ・スキッキ:カルロス・アルバレス
– ラウレッタ:砂川涼子
– ツィータ:寺谷千枝子
– リヌッチョ:村上敏明
– ゲラルド:青地英幸
– ネッラ:針生美智子
– ゲラルディーノ:吉原圭子
– ベット・ディ・シーニャ:志村文彦
– シモーネ:大塚博章
– マルコ:吉川健一
– チェスカ:中島郁子
– スピネッロッチョ先生:鹿野由之
– アマンティオ・ディ・ニコーラオ:大久保光哉
– ピネッリーノ:高橋正尚
– グッチョ:水野秀樹


指揮:沼尻竜典
演出:粟國 淳
管弦楽:東京フィルハーモニー

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