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プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

リゴレット ボローニャ歌劇場

 久しぶりのブログになってしまいました。その間に、二期会の“サロメ”、東フィルの定期公演(ラフマニノフとチャイコフスキー)、ジャズの“ベーストーク”の公演に行っているのですが、ブログに書けませんでした。また、機会があったら書こうと思います。

さて、6月21日、東京での初日の公演に行って来ました。海外からの引っ越し公演で上演されるヴェルディ作品は、最近はラ・トラヴィアータばかりになってしまい、昔は良く持って来られていた、ナブッコやエルナーニも殆ど無く、ドン・カルロでさえも最近はあまり聞きません。(昨年、バーリ歌劇場が“イル・トロヴァトーレ”を引っさげて来てくれたのが異例!)で、このリゴレットも久しぶり。もしかすると2013年のスカラ座来日以来かも。。。それでも、S席で¥34,000-という設定は良心的と言えます。今回、僕はオーチャードの3階2列目のB席で見ました。

 一番楽しみにしていたのが、タイトルロールを歌うアルベルト・ガザーレ。昨年のバーリ歌劇場の“イル・トロヴァトーレ”のルーナ伯爵で、素晴らしいヴェルディバリトンを聴かせてくれましたからね。今回も出色の出来でした。リゴレットの場合、どうしても、何度も聴いているレオ・ヌッチの素晴らしい歌唱が、デファクトスタンダードになってしまい、誰が歌ってもそれと比較してしまうので、分が悪くなるのです。今回も1幕目はそんな思いが頭をよぎり、耳はヌッチを求めていたのですが、2幕目以降は、ガザーレの熱唱に完全に入り込むことができました。声質もヴェルディを歌うにはぴったりだし、なにより声量にも音程にも余裕があります。「なんとか出している」という声ではないのです。そして、表現力と演技もうまい。ガザーレは、ヌッチの後継者と言っても良いと思います。

 デジレ・ランカトーレを聴くのは、2017年のマッシモ歌劇場の“ラ・トラヴィアータ”以来です。プログラムで、本人もインタビューに語っていますが、声質がだいぶ変わった、今やコロラトゥーラでジルダは歌わない、とのことでしたが、その通り、リリックながら、力強い「大人になった」ジルダを聴かせてくれました。ただ、高音のところで、こちらは「なんとか出している」という感じがしてしまうところがありました。そして、今回は、クリティカル版での上演ということなので、ジルダに限らず、高音で終わるところがけっこう多かったのがちょっと疑問でした。

 マントヴァ公爵を歌ったセルソ・アルベロ。ランカトーレとは良く一緒にリサイタルもやっている、仲良しです。明るい声ではないのですが、自分のスタイル(歌の最後の音を伸ばして、たたき切るようなスタイル)を持っていて、なかなかクールです。ただ、容貌のことを言って申し訳ないのですが、きれいに禿げていて、小太り、それで、一幕目は濃紺のガウンを着て出て来たので、3階からでは、僧正が出て来たのかと思ってしまいました。ガザーレが相当なイケメンなので、ここはちょっとバランス悪かったですね。それと、“女心の歌”でカデンツァが入っていたのも、クリティカル版らしくないですね。

このクリティカル版らしくないのの、最たるものは、第2幕最後の、リゴレットとジルダの二重唱 “Si vendetta(復讐だ)“のBis(劇中アンコール)をやったことでしょう。もちろん、僕も含めて観客は大喜びでしたが、相当矛盾していますね。ま、パフォーマンスが良かったので、グチャグチャ言わないで楽しんだ方が勝ちという感じでした。参考までに、昨今のこの場面のBisを習慣づけたヌッチ(とエレーナ・モシュク)のBisの場面をお聞きください。

https://www.youtube.com/watch?v=HAIA-6e2qoQ

 指揮のベルトラーミ、初めて聴きましたが、この日に限っては感心しませんでした。まず、序曲がしめってしまっている。管楽器がミュートがかかっているような音です。テンポも遅い。後半に行くに従って段々良くなりましたが、それでもオケが乗っている感じがないのです。今の若手だったら、チャンパなんかのほうが、ずっとヴェルディらしさが出せると思います。

 一番がっかりしたのが、演出。読み替えではないですが、舞台を現代に移しています。しかし、思わせぶりなトリックが多くて、舞台を見ていると気が散ってしまいます。1幕目では、ジョヴァンナがやたらに動き廻っているのですが、どうもその意味がわからない。2幕目では、半死体のような、ジルダ、あるいはモンテローネの娘が、舞台中央に座りこんでいて、気味も悪いし、意味も不明。3幕目では、“外套”のような船が舞台というのは、まあわかりやすいのですが、1-2幕目で色々と謎を振りまいた割には、「え、いきなり船?」と単純な舞台で肩すかしの感じ。ジルダが下着姿になるのも良くわからないし、息も絶え絶えのはずのジルダが、ヴィオレッタの最後みたいに、立ち上がるのも興醒めです。その他も突っ込みたいところばかり。

 総じて見ると、ガザーレの良さが突出していたと言える今回の公演でした。

指揮:マッテオ・ベルトラーミ
演出:アレッシオ・ピッツェック

リゴレット:アルベルト・ガザーレ
マントヴァ侯爵:セルソ・アルベロ
ジルダ:デジレ・ランカトーレ
スパラフチーレ:アブラーモ・ロザレン
マッダレーナ:アナスタシア・ボルドィレバ
ジョヴァンナ:ラウラ・ケリーチ
モンテローネ:トンマーゾ・カーラミーア

ボローニャ歌劇場管弦楽団・合唱団



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