FC2ブログ

プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

トゥーランドット@新国立劇場

 7月21日日曜日のマチネに行って来ました。このチケットを予約した時(シーズンで数公演)、たしか中村恵理のリューのキャストで取っていたと思い込んでいたのですが、実際は砂川涼子のBキャストのほうでした。もちろん新国立に行ってから気づいたわけではないので、サプライズではなかったのですが。しかし、砂川涼子のリュー、この日の歌手の中で一番良かったと思います。ピアニシモからフォルテまで感情表現が美しく、カラフルな高音と相まって、死を覚悟していく3幕目のアリア「氷に包まれた貴女」はグッとくるものがありありました。この人、どんどん上手くなっていますね。(もちろん、昔から日本のディーヴァだったのですが)最近聴いたのでは、ジャンニスキッキのラウレッタ、ホフマン物語のオリンピア、ウェルテルのソフィーなどがありますが、どれも本当に素晴らしかったです。

 それに比べるとタイトルロールのジェニファー・ウィルソン、カラフのデヴィッド・ポメロイは、“並”というか”竹“というか、今ひとつインパクトにかけました。合唱がかなり強力なので、それに打ち消されるところがあったのと、二人とも高音がちょっと苦しいのです。リューに比べると、この二人の「思い」は底の浅いものなので、感情表現がうまく出来ていなかったというのは、的外れかもしれませんが、それにしても、心に響くところがありません。Aキャストのテオリン、イリンカイはどうだったのでしょうか?

 ティムールの妻屋秀和はさすがの安定感ですね。しかし、なぜBキャストは21日、一日だけだったのでしょう?

 話題になっている演出、賛否両論のようですが、僕は、とても良かったと思います。最近であれば、ゲーム・オブ・スローンズ、ちょっと昔ならマトリックスのザイオン(演出家のオリエは「ブレードランナー」を引き合いに出していますが)を思い出させる無機質で垂直的な舞台は、スペクタクルでした。オリエは、このオペラは残忍な権力について語っていると言っていますが、僕がいつもこのオペラを見て、最後に帳尻合わせのように「愛」を語っているのに、違和感を覚えていたのが、オリエの言葉ですっきりとしました。そして、リューが自害したことに、オロオロするような仕草で、亡骸のそばを離れないトゥーラン・ドットも、最後に「彼の名は愛」と言うと自刃します。カラフから愛を教えられたのではなく、リューから愛を教えられたという流れになっていると思いますが、このほうが自然。「リューの名は愛」ということですね。

大野和士の指揮は、いつものようにテンポがゆっくりしていました。バルセロナ交響楽団は緊迫感のある演奏でしたが、緊迫感がやや強すぎて、プッチーニの甘いメロディがやや霞んだかなという感じがありました。幕間にオーケストラのホルンが、「マイスタージンガー」の練習をしていてびっくりしましたが、(多分、バルセロナ響のコンサートでやるのでしょう)このトゥーランドットもちょっとワーグナーっぽいかなという感じがありました。

 最後に、、、合唱は凄かったですね。これは、再演される時にも3つの合唱団でかなえてほしいものです。

指揮
 大野和士
演出
 アレックス・オリエ
美術
 アルフォンス・フローレス
衣裳
 リュック・カステーイス
照明
 ウルス・シェーネバウム
トゥーランドット
 ジェニファー・ウィルソン
カラフ
 デヴィッド・ポメロイ
リュー
 砂川涼子
ティムール
 妻屋秀和
アルトゥム皇帝
 持木 弘
ピン
 森口賢二
パン
 秋谷直之
ポン
 糸賀修平
官吏
 成田 眞
合唱指揮
 三澤洋史
合唱
 新国立劇場合唱団
 藤原歌劇団合唱部
 びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱
 TOKYO FM少年合唱団
管弦楽
 バルセロナ交響楽団
関連記事
スポンサーサイト



トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://provenzailmar.blog18.fc2.com/tb.php/714-45699245
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)