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プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

マリインスキー歌劇場「スペードの女王」

 11月30日の東京文化会館でのマチネに行って来ました。ゲルギエフの十八番のこの作品ですが、日本で公演されることは滅多にありません。僕も生で聴くのは初めてです。

 何よりも、チャイコフスキーの音楽が美しい!序曲はロマンチックで、かつロシアの荒々く広大な大地を感じさせる(なぜか、映画「ひまわり」を思い出してしまいます)壮大な響きが素晴らしいです。3幕目の序曲などは、ウルウルしてきました。ゲルギエフの指揮は、抑え気味ですが、弦のハーモニーを美しく浮きだたせていました。

 歌手では、リーザ役のイリーナ・チュリロワが感情が良く表されたゴージャスな声で魅了されました。3幕でのゲルマンを待っての「悲しみにも疲れ果てた」は絶品。ただ、対するゲルマンのミハイル・ヴェクアが今ひとつでした。高音を持ち上げるようなかったるさがあり、情感がこもらないフラットな歌い方、声量もチュリロワに比べて劣るので、二重唱が盛り上がりませんでした。この役を得意としていると言う、ダブルキャストで12月1日に歌うウラディミール・ガルージンを聴いてみたかったです。

 トムスキー伯爵を歌ったバリトンのウラジスラフ・スリムスキーは安定していて、歌にも演技にも余裕があり、舞台を締めていました。エレツキー公爵のロマン・プルデンコも同じくバリトンですが、ちょっと声を作っている感じ。しかし、公爵という役柄にはあった作り方(威厳のある)で悪くなかったです。

 合唱が多い作品ですが、合唱団は奥行きがあって素晴らしい歌唱でした。

 舞台美術と衣装は、クラシックとモダンを折衷したもので、非常に洒落ていて良かったと思います。ただ、演出は少しだるい。人の動きが緩慢としていて音楽に合っていない感じがしました。特にリーザが死ぬシーンは、川に飛び込むのではなく、次の場面の賭博場の中をゆっくり歩いて消えて行くのは、やや目障り。

 全体に上質なオペラを見た感じがしましたが、「長かった」と感じてしまったのは、筋書きがちょっと退屈なのですね。プログラム(¥1,500-でとても充実していました!)にも詳しく書いてありましたが、プーシキンの短編小説を伸ばして、色々と場面を加えて作られたオペラ作品とのこと。個人的にはプッチーニの「外套」のように、短編小説っぽいオペラにしてくれたほうが良かった感じがしました。ダブルビル用とか、トリプルビル用にするとか、、、、これを、今ここで言っても全くしかたないんですが。。

 ともあれ、この作品と「マゼッパ」というマイナーな作品を持ってきてくれたマリインスキー歌劇場とジャパン・アーツに大感謝です。「椿姫」ばかりの来日引っ越し公演の中で、このようなプログラムは光ります。

指揮:ワレリー・ゲルギエフ

演出:アレクセイ・ステパノフ

ゲルマン:ミハイル・ヴェクア
トムスキー:ウラジスラフ・スリムスキー
エレツキー:ロマン・ブルデンゴ
チェカリンスキー:アレクサンドロ・トロフィモフ
スーリン:ユーリ・ウラソフ
チャプリツキー:アンドレイ・ゾーリン
ナルーモフ:ドミトリー・グリゴリエフ
伯爵夫人:アンナ・キクナーゼ
リーザ:イリーナ・チュリロワ
ポリーナ:ユリア・マトーチュキナ(ミロヴゾール「ダフニス」)
マーシャ:キラ・ロギノヴァ
プリレーパ(クロエ):アンナ・デニソヴァ
児童合唱:杉並児童合唱団
マリンスキー歌劇場合唱団、管弦楽団
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