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プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ラ・ボエーム@新国立劇場

 今年の新国立劇場での初オペラは、1月31日のラ・ボエームでした。目当ては、なんと言ってもニーノ・マチャイゼです。彼女は今回初来日、今まで日本に来たことがないので、ファンの僕は、今まで彼女を聴くために、パルマ(真珠採り)、ロサンジェルス(タイス)、アムステルダム(ランスへの旅)、と追っかけて来ました。今回、マチャイゼは日本をとても気に入った(特に浅草)ようなので、これからはもっと来てくれるでしょう。

 彼女の声は、いつものように芯がしっかりあって、低音から高音までをしっかりと歌い込み、情感を表す技術に優れたものでしたが、正直なところ、ミミという役柄にぴったりかと言うと、そうは言えないような気がしました。マチャイゼの魅力は、やはり「強い女性」を演じた時に最高潮になると思います。ですので、ジルダとか、タイス、レイラ、フォルビル伯爵夫人などの役で聴いた時のほうが、しっくり来ましたね。彼女自身も、プッチーニの演目で、ここ5-10年の間に歌うことを目指しているのは、トスカだと言っています。

 ロドルフォ役のマッテオ・リッピも良かったです。高音まで良く伸びる明るめのイタリアンボイス。貧しい芸術家という雰囲気を良く出していました。マルチェロのマリオ・カッシも良いバリトンだと思いますが、やや一本調子なのが気になりました。ムゼッタの辻井亜希穂。ドイツを中心に実績充分ということで、美しい声でしたが、もう少し華やかさ(色っぽさ?)が欲しかった気がします。ショナールの森口賢二は、安定した声と演技で舞台を引き締めていました。

 僕はラ・ボエームを見るのはまだ3回目なんです。以前に見たのも2回とも新国立の粟国演出です。この演出は美しいですね。クラシックで、印象派の絵画のようです。僕のオペラの師匠のK先生が、プッチーニはルノアールのようだと言っていましたが、まったくその通り。(一方ヴェルディは、セザンヌでしょうか?)特に第3幕の雪のアンフェール関門の場面は紗幕をうまく使って、本当に絵画のようです。新国立の演出の中では、「ばらの騎士」とならんで、名演出だと思います。

 最後に、指揮。新国立ではおなじみになったカリニャーニです。カリニャーニの指揮の特徴はグングンと歌唱をひっぱり、落とすところは落として歌唱を浮き上がらせるところです。この日もそんな感じを受けました。かなり映画音楽っぽい。ただ、このラ・ボエームは、ヴェルディなど(オテロが印象に残っていますが)のように、音楽の塊感を出す曲ではないので、このような指揮がプッチーニファンの人の耳にどう響いたのかは、ちょっと疑問でした。

 ネガティブなことも色々と書きましたが、全体としては、非常に水準の高いラ・ボエームでした。満足!

指揮:パオロ・カリニャーニ
演出:粟國 淳
美術:パスクアーレ・グロッシ
衣装:アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明:笠原俊幸

ミミ:ニーノ・マチャイゼ
ロドルフォ:マッテオ・リッピ
マルチェッロ:マリオ・カッシ
ムゼッタ:辻井亜季穂
ショナール:森口賢二
コッリーネ:松位 浩
ベノア:鹿野由之
アルチンドロ:晴 雅彦
パルピニョール:寺田宗永
管弦楽:東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団
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